国際医療福祉大学赤坂心理・医療福祉マネジメント学部心理学科・実験精神病理学研究室 長谷川晃のホームページ 研究テーマ
Topに戻る
    研究テーマ:

     主として反すう(rumination)に関する研究を行っています。反すうは「自己の抑うつ症状や、その症状の影響に注意を焦点づけた行動と思考」と定義され(Nolen-Hoeksema, 1991)、「なぜこんなに落ち込んでしまっているんだ?」「なぜこんな事態になってしまったんだ?」「なぜあんなことをしてしまったんだ?」といった自問自答によって特徴づけられます。反すうは、当初はうつ病の有病率の性差を説明するために提案された概念です(Nolen-Hoeksema, 1987)。しかし、その後に行われた膨大な量の研究において、反すうは抑うつやうつ病のリスクファクターであるという頑健な知見が得られており、また、不安症状、全般不安症、急性ストレス障害、外傷後ストレス障害、社交不安症、摂食障害、物質乱用、境界性パーソナリティ障害との関連性も指摘されています(レビューとして、長谷川, 2013; Nolen-Hoeksema, Wisco, & Lyubomirsky, 2008)。そのため、反すうの持続過程を理解することで、抑うつ・うつ病や他の多くの精神疾患に対する心理療法を洗練することができると考えられます。現在は、1.反すうの測定方法の整備、2.反すうの悪影響の特定、3.反すうの持続過程の探索、という3点を研究テーマとしています。


    <主な研究テーマ>
    a.抑うつ的反すうの測定方法
     日本語版Ruminative Responses Scaleの作成と信頼性・妥当性の検討。抑うつ的反すう面接課題の作成と精度の改善。

    b.反すうと抑うつや他の情動との関連性
     反すうと抑うつ・うつ病や他の感情・精神疾患との関連性の検討。

    c.反すうの持続過程
     反すうの始発や持続に絡む目標、反すうと社会的問題解決や衝動性との相互作用。

    d.抑うつや反すうに対する介入技法・アプローチ
     反すうの能動性に焦点を当てた介入アプローチの考案など。


    研究業績のページへ

    抑うつ的「反すう」癖から抜け出し、自分らしい人生を@株式会社cotreeさんのHP


    <文献>
    ・長谷川晃 (2013). 13章3節 抑うつ 日本パーソナリティ心理学会(企画) 二宮克美・浮谷秀一・堀毛一也・安藤寿康・藤田主一・小塩真司・渡邊芳之(編) パーソナリティ心理学ハンドブック 福村出版 pp.380-385.

    ・Nolen-Hoeksema, S. (1987). Sex differences in unipolar depression: Evidence and theory. Psychological Bulletin, 101, 259-282.

    ・Nolen-Hoeksema, S. (1991). Responses to depression and their effects on the duration of depressive episodes. Journal of Abnormal Psychology, 100, 569-582.

    ・Nolen-Hoeksema, S., Wisco, B. E., & Lyubomirsky, S. (2008). Rethinking rumination. Perspectives on Psychological Science, 3, 400-424.